12月18日 日本の鍼灸師教育を救う道

「治療効果を体験させる鍼灸臨床実技実習」2009年8月1日に書きました。

物理療法は、その治療を受けて体験することで本当の理解がなされるといいます。
私もまさにその通りと考えています。

私は、30年近くも鍼灸の実技実習指導から遠ざかっていました。
昨年、今年と久しぶりに参加する機会があり、改めて考えさせられました。
臨床にもそれなりの体験をした現在の私が考える鍼の実技実習は、

1 鍼基礎実技実習:安全に、痛くなく、確実に刺鍼する技術を学ぶ。

2 鍼臨床基礎実技実習

2-1 鍼臨床基礎実技実習1 身体各部への安全な刺鍼法を学ぶ。

2-2 鍼臨床基礎実技実習2  治療技術の一つ一つをその治療法と効果を体験させる。

従来、治療法の効果を体験させるという部分が多くは行われていなかったと思います。

現在、そのようにやっておられる先生は立派だと思います。
臨床的な力量が高まってこないと発想できないことなのかなとも考えます。
文部科学省の学習指導要領に関わっていた頃の私には、まだその発想がなかった様に思います。
経験を積んだ臨床的に、研究的に、教育的に力量を高めた指導者が必要です。
それなりの環境がないと人は育たないものです。

3 鍼臨床実技実習 症状を持つ人達を実習対象にする臨床実習です。

平成7年から鍼灸の臨床実習施設が設置義務化されていますが、専門学校の多くでは極めて不十分な状態です。

2 鍼臨床基礎実技実習の段階までは、せめて充実したいものです。 

鍼実技実習は、上記で大丈夫です。

現在の鍼灸師教育に実践的な治療学がないことにお気付きでしょうか。
治療学の理論がないのです。
これは明治のときに鍼灸を西洋医学化した影響です。
治療学を作れなかったわけです。
その結果、局所治療が可能な「痛みを主訴とする運動器の症状」だけが、日本で鍼灸治療の対象になるということが起きました。
西洋医学を根拠とした鍼灸教育は、内科系訴えに対する治療学を用意できなかったのです。

私が述べている「自然鍼灸学」は、明治のときに用意できなかった内科系訴えに対する治療学、身体の機能を主体とする治療学です。
これが加えられて明治のときの「鍼灸教育の西洋医学化」が、体系が整うのです。
種々の症状に対する経験医術の真髄を生かした治療学が提供できるようになったのです。

以上を実践的に確実に教育すれば3年間で治療の出来る鍼灸師を教育することが可能です。
「ご飯を食べられる鍼灸師教育」です。経絡治療など古典的な鍼灸教育は、その上に乗せ、卒後教育も含めて育てます。

宝塚医療大学での鍼灸師教育は、3年までに上記の教育で「3 鍼臨床実技実習 症状を持つ人達を実習対象にする臨床実習」を行い、治療の出来る鍼灸師を育てます。
4年制の段階で、経絡治療、中医鍼灸などの古典医学体系による鍼灸へと導きます。
もちろんこれで古典医学体系による鍼灸による治療家としての教育が完成しません。
卒後教育につないで何年かかけて希望のものを身に付けるということです。
西洋医学による鍼灸治療を出来るところまでは確実に教育されています。